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―PCR検査数は何故増えなかったのか?―

新型コロナウイルス感染症診療体制―PCR検査数は何故増えなかったのか?―


 新型インフルエンザ対策総括会議報告書(2010年6月)では、保健所の組織や人員体制の強化、PCR検査体制強化が課題として明記されていました。しかし、SARS、MERSの洗礼を受けなかったわが国では、PCR検査体制などの感染症対策に本腰を入れず、真逆にも財政健全化のために感染研の人員と予算を削減し、保健所の数も減らしていました。新型コロナウイルス感染症ではその付けが回ってきました。少ないPCR検査資源での苦肉の策がクラスター対策でした。
 2020年5月には厚労省は、政府中枢に説明するための内部資料「不安解消のために、希望者に広く検査を受けられるようにすべきとの主張について」を作成しています。「PCR検査の感度70%、特異度は99%で、PCR検査は誤判定がある。検査しすぎれば偽陽性者が増え、医療崩壊の危険がある」と記載されていました。PCR検査は原理的に特異度100%で、コンタミネーション等がなければ偽陽性となることはありません。実際、中国・北京市で1000万人規模のPCR検査が行われ、陽性率は0.0033%でした。全世界的にもPCR検査の偽陽性は全く問題になってはいません。PCR検査が抑制されたのは、検査データを独占したい感染研の思惑と、五輪に向けて新型コロナ感染を矮小化したい政府側の思惑が一致したためかもしれません。
 2020年9月15日、厚労省から「新型コロナウイルス感染症に関する検査体制の拡充に向けた指針」が通達されました。保健所の数を急には増やすことは出来ないため、第二波で患者数がさらに増加すれば「かかりつけ医」に丸投げされるのではないかと危惧されます。竹槍を持って新型コロナに挑む日々はいつ終わるのでしょうか?