史上最大のワクチン接種―求められるリスクコミュニケーションー
2021年1月27日、新型コロナウイルスの感染者が全世界で1億人を超えた。ワクチンは感染症対策の決め手とされている。集団免疫を達成するためには人口の6割から7割程度の人がワクチンを接種する必要があるとされている。2020年12月8日、英国における「史上最大のワクチン接種」を皮切りに、世界各国で新型コロナウイルスワクチン接種が始まっている。わが国では、接種費用を国が全額負担する改正予防接種法が成立し、2021年2月下旬から接種する体制となった。ファイザー、アストラゼネカ、モデルナ各社から合計3億1400万回分の供給契約が結ばれている。短期間で効率的な集団予防接種を行う体制を構築する必要があり、市町村と医師会の緊密な連携が求められている。導入されるのは、新しく開発された遺伝子mRNAワクチンやウイルスベクターワクチンであり、発熱、痛み、アナフィラキシーなどの副反応が従来のワクチンと比較して多めであると報告されている。2021年1月のNHKの世論調査では、38%の人が新型コロナウイルスワクチンを接種したくないと回答している。WHOが危惧する「ワクチン忌避」を回避するためには、ワクチンの医学的必要性を説明し、速やかな副反応の開示を行い、リスク・ベネフィットを十分説明することでワクチン接種を受ける人を増やす必要がある。