冬の乾燥肌と痒み
2016年11月01日
私達の体の表面は垢(アカ)でできた角層という膜により覆われています。角層はちょうどポリエチレン製のラップと同じように体内の水を外界に逃がさないバリア、外界の物質を体内に入れないバリアとして機能しています。また、毛穴から出て皮表を覆う皮脂、角層細胞間脂質、水溶性の天然保湿因子などの保湿成分により自らを保湿し、その柔軟性と外観上のみずみずしさを保っています。冬になり湿度が低下し発汗量が減ると、加齢や洗い過ぎにより保湿成分の減った角層はカサカサ乾燥し、目に見えない細かな亀裂が無数に入り、痒みを感じる神経が下から角層直下にまで伸びて来ます。そのため、亀裂から侵入した物質の刺激や物が擦れるなどの刺激が神経に届き痒みが発生するのです。さらに、刺激が高じると皮膚の炎症である湿疹が発生し痒みは増強します。好発部位は下腿伸側(すね)と腰回りです。
対策としては予防が大切です。入浴時は石鹸の泡のクッションを利用して優しく洗い、「垢すり」はやめましょう。加湿器などにより室内の湿度を維持しましょう。保湿剤は早めに、むしろ予防的に外用するのがコツです。しかし、湿疹が発生した場合は保湿剤では通常治りません。炎症を抑えるお薬が必要ですので皮膚科を受診することをお勧めします。
広報委員会 武居 彰