健康読本53
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自分だけで判断しない、必ず医師に相談する 「こころの健康なくして健康なし」とは、WHO(世界保健機構)の初代事務局長ブロック・チゾム(Brock Chisholm)氏の言葉です。今日誰もが共有している“健康”の概念、すなわち「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的においても、すべてが満たされた状態にあること」を提唱したのもチゾム氏です。彼が精神科医だったと知れば、この画期的な“健康”の定義には、こころと体は一体であるという心身相関が重視されていることが読み取れます。 今日、メンタルヘルスへの関心が日本の社会にも広く普及しています。そのきっかけの一つはWHOによる障害調整生命年(DALY)の採用だったと考えられます(1990年)。詳しくは紹介しませんが、DALYとは、疾病により失われた年数で疾病負担を評価する指標です。その結果、従来の死因で比較した疾病の重要度とは異なる結果が出ました。ちなみに、日本人の死因の1位は「悪性腫瘍(がん)」です。2位が「心疾患(心臓)」、3位が「脳血管疾患」、4位が「老衰」、5位が「肺炎」です。ところが、DALYで疾病の重要度を測定すると、こころの病気による疾病負担が悪性腫瘍と並んで高いことが明らかにされたのです。1はじめに3こころの病気

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