ロシアのプーチン大統領はアイヌ民族をロシアの先住民族と認定 ―北方領土と北海道はアイヌ民族の地だったか?―
ロシア極東の先住民族は主に、チュクチ族、シベリア・ユピック族(エスキモー)、アレウト族(アリュート族)、コリャーク族、イテリメン族、エヴェン族の6民族に分類されていた。アイヌ民族は自らを千島列島の先住民であり日本とロシアの両方が侵略者であると主張してきた。しかし1979年、ソ連政府はロシアの領域から民族集団としてのアイヌは消滅したとして、現存する民族集団から「アイヌ」の項目を削除した。2004年、カムチャッカ地方のアイヌ人団体がプーチン大統領に、日本、帝政ロシア、ソビエト連邦の全てをアイヌ民族の殺害と同化政策を行ったと書簡で糾弾した。また、2011年にアイヌ民族を北方シベリア・極東地方の少数民族のリストに加えるよう要求したが受け入れられなかった。
ロシアはソ連時代を含め、アイヌ民族をロシアの先住民族とは公式には認めてこなかったが、日本国内には「日本の先住民族であるアイヌ民族が北方四島に住んでいたことから、四島は歴史的にも日本固有の領土である」とする考え方がある。2018年12月11日、モスクワにおけるロシア人権評議会において、プーチン大統領は「クリール諸島(北方領土を含む千島列島)などに住んでいたアイヌ民族をロシアの先住民族に認定する」という考えを示した。
将来、ロシアの独裁統治者が、北方四島と北海道はアイヌ民族の地であり、明治政府に侵略されたとし、「アイヌ民族保護」を名目として北海道に侵攻する可能性は排除できない。