創薬への愛情―薬が足りない!!―
先日ある薬剤師さんとお話しした。「添付文書には使用される薬の創薬から販売までの全てが詰まっている。薬剤師の愛情も詰まっている」とのことであった。頷ける想いであり、患者さんへの病状や処方する薬の説明時に添付文書にチェックを入れながらの説明を心がけている。
現在、コロナの影響もあるのかもしれないが、薬不足が目立つ。報道によれば、近年、後発医薬品メーカーを中心に承認書から逸脱した不正製造が相次いで発覚。不祥事による代替需要の急増で玉突き現象が発生し、市場の混乱から供給不足に陥っている。
抗真菌薬に睡眠薬が混入したK化工は116日間の業務停止命令を受け、N医工には32日間、Cho製薬には31日間の業務停止命令、Hi製薬は8日間の業務停止命令、MSFE・L・第E等はK化工の申請書類の虚偽記載で業務改善命令を受けるなど、後発医薬品への信頼は大きく傷ついた。医薬品流通の闇も明らかとなり、構造上の問題も噴出した。
後発医薬品は創薬の努力が必要なく安価であること、健康保険組合への負担軽減の二点で使用が促進され関連企業が伸びてきた経緯がある。
「欧米からノウハウを買えば良い」そして外国企業によるM&Aさえも進めたこの促進策こそが、国内の名だたる製薬会社が大事にしてきた創薬への愛情をそぎ取ってきたのではなかろうか?
国内では緊急に必要とされるコロナワクチンの創薬さえ遅々としており、薬市場は混乱し供給不足に陥っている。
創薬への愛情を忘れた医薬品メーカーなど切り捨て、グローバルに通用する人材確保と製薬会社の育成を国防の要として優先するべきである。