医療費適正化の行く末は?―保険診療から人材が離れている!―
近年若手医師の間で、「直美(ちょくび)」(直接美容外科に行くこと)がトレンドとなっていて、医学部卒業生の10人に一人が美容外科に進路を選んでいると聞きます。看護学校は、看護大学を含めていずれも定員割れに悩み、医療事務も以前は人気の職業でしたが、現在は全国的に募集を出してもなかなか人が集まらない状況が続いています。どうも医療、特に「保険診療」に新たな人材が入ってこないように感じます。これは医療費適正化の名のもとに、医療費の伸びが抑えられ、医師、看護師、医療事務など医療に携わる方々の給与を低く抑えなくてはならない状況が続いているため、保険診療に携わることが、魅力的でなくなっているのではないでしょうか。現在医療にかかわっている方々は、高い義務感や責任感に支えられ頑張っていますが、新たな人材が入ってこなくては、先細りになることは目に見えています。複雑な計算をしなくてはいけないベースアップ加算が導入されましたが、焼け石に水です。保険診療に携わることが、若い方々にとって魅力的な職業にならないと、世界一優秀な日本の保険診療が劣化してしまうと危惧しています。財務省主導の初めに財源ありきの議論ではなくて、今後の我が国の保険診療がどのようにあるべきかの議論が必要です。