少子化・働き方改革・保険診療改定の目指すところ ―三位一体―
従来から医療従事者の献身的な時間外労働等にも支えられてきた日本のフリーアクセス医療制度でした。24時間勤務を担当する医師の地道な努力に支えられ来院される方々の相談に親身にお答えできるのがかかりつけ医の姿でした。
働き方改革では、単純計算で3倍の医師が必要となります。昭和48年当時6000人だった医学部定員は現在では9400人と約1.5倍に増えており、2029年には医師全員が960時間の時間外労働をしたと仮定して均衡がとれるとはされております。現在でも産婦人科・救急科を中心に1860時間越えの時間外労働をしている医師は全国平均で約4%おります。県内はもっと多いと思われます。対策として、各種の労働条件緩和や面接指導含めて法定として休息の確保・若手医師の40%を占める女医さんもおり、産前産後のパパママ育休取得・介護休業取得等もされ始めています。本県は医師少数県ですし達成に疑問があります。
人口減少の予測カーブも甚だしく、県内どこでも出生数は落ち込み、少し前までの半分程度となっております。従って近い将来には生産人口が半分となります。観光客もお店のお客様も、患者さんも半分となります。
診療報酬改定では、医療費削減の大義名分の下に糖尿病・高血圧・脂質異常を生活習慣病管理に追い込み、包括医療と、かかりつけ医機能と相互医療連携を患者数減少の進む地域医療に専門性を高め落とし込もうとする厚労省の動きの加速が透けてみえてきます。
以上から我々はどう進めば良いのか?しばしば考えます。高度医療施設への医師の労働集約・医療の効率化の話題がますます出てくると思います。また新規の御開業の先生方のクリニックのネーミングに、おなか、みみはなのど、糖尿病、呼吸器、循環器、マンマ、ロコモ、こども、メンタル、ハート、ファミリー、こころ、腎臓、ART,初めから医師会にも入らず保険医にもならない選択もあるようで、マイペースで自己の専門性を磨き上げ地域浸透に夢を持って努めておられるようです。こんなところに解決法が見いだせるように思えます。