担い手不足の学校医について―学校医への心無いクレーム報道から思う―
今年7月、栃木県大田原市議からのクレームにより学校医が辞めざるを得なくなったニュースが報じられた。学校健診結果を巡って、70歳代の学校医に電話で「子どもを不安にさせて金儲けをするつもりなら辞めるべきだ」などとクレームが入り、校医を辞めることになったという。
全国的に学校医のなり手不足が叫ばれて久しい昨今、特に地方では高齢の先生方が広く役割を担われていると思われる。その現状を知る立場にいるはずの市議自らがそんな行動に出るとは学校医に対する敬意とは真逆で、辞されるのも当然と思える。筆者は50歳近くで、4箇所の校医や園医を先代から継承している。健診が重なると忙しく感じるが、近隣の耳鼻科の先生は10箇所以上も担されれていると聞き、頭が下がる思いである。
医師の使命感だけでは限界がある。地域や行政には学校医の重要性について理解を広げていただきたい。また、これからの若い医師や学生に対して、学校医の役割を学ぶ機会を充実させ、やり甲斐を持つ担い手が増えるような方策が講じられることを願う。