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認定医療法人制度について ―承継時の心―


 持分あり(財産権を持つ)医療法人の抱える経営上の問題点から、法人医業承継時にこの
財産権が相続税・贈与税の課税対象となるため本来の経営基盤に深刻な影響を与えることがあります。 
 持分なし医療法人(国の目指す姿)の場合は、出資持分がないため事業承継に際して持分
に対する課税は発生せず後継者への課税問題が解決されます。
 近年では、新規の持分あり医療法人設立が認められなくなっており、国の方針は持分な
しの医療法人に移行していくこととされますが、遅々として進んでいないように見受けます。その理由は出資持分が財産権であるため放棄に対して抵抗感が強いことや、出資持分が放棄された際に、その放棄が他の出資者や法人への贈与とみなされ、それぞれに対して贈与税が課税されることも背景にあるようです。
 認定医療法人制度について(持分なしの医療法人への移行計画認定制度)は、持分の払い
戻しなどにより医業承継が困難になることなく、当該医療法人が引き続き地域医療の担い手として、医療の安定的な提供を目指していくため、法人の任意の選択を前提として持分なしの医療法人への移行の取り組みを行う医療法人を国が認定する仕組みです。一定の様式による「①移行計画」「②厚労省に認定」が必要となり、計画通りに移行すれば、贈与税が猶予・免除されるなどの特例措置が受けられるというものです。認定手続きの手間はあるが、課税上のメリットが大きい為、持分なしの医療法人への移行にあたっては、「認定医療法人」を経ることが一般的とされます。期限は令和8年12月31日です。
 この現有財産放棄にも思える制度の利用はそれぞれの医療法人のメリットデメリットで
お考えになることと思われます。