遺伝子検査の問題点 ―遺伝子差別―
2003年にヒトゲノムの全容が解明され、その後遺伝子検査が急速に発展してきている。遺伝子情報には将来に発症する可能性のある病気の危険性が含まれているため、病気の予防や早期発見、また個別化医療が可能となってきた。最近は民間の遺伝子検査サービスも始まり、より身近になってきている。
オバマ大統領は2015年1月、米国民100万人の生活習慣や遺伝子情報、病歴といった健康に関する情報を収集し、医療に役立てる計画を発表した。この事からも遺伝子検査がますます発展し、重要になってきていることがわかる。
2008年に米国では「遺伝子情報差別禁止法」が成立した。この法律では遺伝子情報に基づく保険に関する差別、雇用者による差別が禁止されている。日本ではやっと、2013年に「障害者差別解消法」が制定されたばかりで、遺伝子差別に関する法律が存在しないが、遺伝子情報に基づく差別や不正取得・利用を防ぐために、早急な法整備が必要と思われる。