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医療経済的毒性 ―費用対効果の再認識―


アメリカの医療において“経済的毒性”-Financial toxicity-という言葉が使われ始めた。経済的毒性負担を考慮し、治療効果に差がないときは高価な薬剤は使用しないことを推奨するということである。以前は1錠100円を超えると高いという感覚があったが、ここ数年の間に数千円は普通。1錠数万円の薬が次々と販売され、私たちの感覚が麻痺してきている。

日本の借金が1000兆円を超え、日本人一人当たりの借金が400万円だったのが、一人800万円を超えてきている。費用対効果をあまり気にしない医師が多い中で、今後アメリカの医師のように一回一回の診療に費用対効果を考えざるを得ない時代が来ている。いい医療の安全性、有効性に加えて“経済性”も強く意識して診療に当たるべきではと思う。