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増大する社会保障費削減のために ―医療の効率化に評価を―


我が国の債務残高は1000兆円を超える天文学的数字になっている。
中でも社会保障費は年100兆円に達し、医療費は30兆円を超えている。診療報酬も出来高払い方式では医療費の増大に歯止めがかからないことから、包括払い方式に転換しつつあるが、果たしてこれで良いのであろうか。

むしろ医療の効率化による医療費削減に舵を切るべきと思われる。例えば減圧開頭術で頭蓋骨を外した後、それを冷凍保存し、頭蓋形成術時、解凍し使用すればサイズはぴったりと合い、自己組織のため異物反応は起こらず、かつ安価である。にもかかわらず診療報酬上の評価はない。自骨を廃棄し、頭蓋形成術に際しセラミック製の頭蓋骨を入れると材料費として100万円ほどが加算され、稼働が上がる。ITを用いた医療連携においても、他院のCTやMRIを読影しても評価されず、自院で取り直したほうが稼働は上がる。

このような状況はむしろ医療の効率化を阻害している。高齢化社会により今後社会保障費がますます増大すると予想されるなか、医療の効率化は待ったなしである。効率化を評価する診療報酬制度が望まれる。