出生数の低下が止まらない ―事態は予想以上に深刻である―
平成28年の出生数は98万1千人であり、戦後初の100万人割れとなった。一方、平成22年の国勢調査では生涯未婚率(50歳時の未婚率)が男性20.1%、女性10.6%(昭和50年では、それぞれ2.6%、4.5%)であった。昭和61年の男女雇用機会均等法施行後の、特に女性の高学歴晩婚化・非婚化と、それにともなう少子化の定着が誘因となったのだろうか。また、その後のバブル崩壊、リーマンショックによる不況と非正規雇用者の増加を背景とし、他方、子育て費用の増加傾向を考えた時、若者が結婚そのものや、複数の子を儲けることを逡巡するのも止むを得ないのかもしれない。また、高等教育を卒業した時には、すでに奨学金の返済義務残高が数百万円にも上る社会人一年生の苦労話などを垣間見るにつけ、現代の日本社会の病巣の根源を正さなければ、将来を担う最も大切な人的資源の減少を食い止める術はなく、延いては我が国の国力の衰退にも繋がりかねない事態である。
昨年の18歳選挙権施行は、若年者の思いを反映させると思われる。人口体系のなかで、従来、新生児から若年層には選挙権が与えられて来なかった。その年代層への行政サービスの遅れをもたらした一因でもあると思われ、将来の偉大なる政治家や政策立案者の出現が望まれるところである。