たばこ税の一部を医療保険の財源に! ―国民皆保険制度を存続させるために―
わが国では国民皆保険制度により、すべての国民が何らかの公的医療保険制度に加入している。しかし、各医療保険組合の財政が悪化し問題となっている。政府も地方自治体も疾病予防のみならず、健康増進対策に予算付けし、何とか保険組合の財政を改善しようと智恵を絞っている。しかし、さまざまな啓発活動も「どこ吹く風」の人々にはほとんど効果はない。例えば、禁煙治療に対しては、かなり以前から保険適応となったが、それとて禁煙する気持ちすらない人にとっては「猫に小判」である。
自動車保険では事故を起こす度に、事故の程度によって次年度の掛け金が割増となる。また、生命保険の分野では、非喫煙者の掛け金が割引となっている会社もある。喫煙者は、悪性新生物や心血管病のため、比較的若いうちに多額の医療費がかかる可能性が高い。
対策として、例えば、たばこの価格に医療保険料を加算し、それを各保険組合に、組合員の喫煙率に逆比例させて分配するなどで、保険組合の財政を支援でき、また禁煙率の向上にも貢献できるのではないだろうか。いずれにしても、たばこ税に医療目的の金額を上乗せし、喫煙者に医療保険料の一部を負担してもらうことが考慮されるべき時期に来ているのではないだろうか。