新専門医制度に望む ―専門医取得を目指す医師の立場に立った柔軟な制度設計を―
新専門医制度がなかなか決まる様相を見せずに、迷走しています。専門医制度の議論の中心は、学会のため、各学会の思惑や専門医に対する考え方の違いで、議論がまとまらないようです。ただ、専門医を取得する医師側の視点に欠けている気がします。今の若い医師は、医学部を卒業するまで6年間、前期研修が2年間、後期研修が3年間かかります。研修終了時にはなんのトラブルなく進んでも29歳、浪人していれば30歳を超えてしまいます。一人の社会人として考えると、30歳ころからは、結婚や子育てなどに忙しくなる年代です。特に最近増えている女性医師にとっては、出産は切実な問題です。
後期研修が終了した段階で、専門医資格が取得できる、もしくは取得できる目途が付くような制度設計が必要なのではないでしょうか。また、キャリアの途中で、出産や育児で休むことがあっても、休んでいる間に通信教育を受けることや、臨床実習を行う努力が専門医取得に結び付くような、柔軟な制度設計を望みます。