医療の現場では長時間労働はやむを得ないのか? ―医療従事者にも労働基準法の適応を!―
平成27年12月25日に24歳の電通の女性社員が自殺し、後に過重労働が原因として労災認定された。電通が違法残業を認識していたにも拘らず、必要な防止措置を取らなかったとして、労働基準法違反の罪に問われた刑事裁判で、東京簡易裁判所は罰金50万円の判決を言い渡した。
しかし、高度医療を担う国立循環器病センターでは「月300時間」までの時間外労働を可能にする労使協定が結ばれていることが分かった。通常業務に300時間の時間外労働を加えれば、休みなく毎日働いたとしても一日当たり18時間労働となる。一般的な業務では時間外労働は「月80時間」を超えてはならず、「月100時間」を超えた場合は産業医と面談し、体調についての問診などを受ける(受けさせる)ことが義務付けられている。
一方、医師には、患者の要請があれば、診察を拒むことができないという「応召義務」があるため、たとえ時間外でも対応せざるを得ない。しかし、最近の医療現場でも、東京都や新潟県の研修医の自殺や過労死が労災認定され、大きな問題となっている。
著しい過労状態での診断や治療行為は医療過誤につながる可能性もあり、医師にとっても患者にとっても不幸なことである。医療従事者にも適切な労働時間制限や、労働環境整備が望まれるところである。