医療裁判とガイドライン ―ガイドラインを最良の弁護士として―
日本の民事裁判は弁論主義という原則を採っていて、当事者の主張していることに対してのみ裁判所は判断することができます。従いまして、医療方針の大局から視点がズレる可能性を感じます。また、司法側から見た規範としてのガイドラインの在り方と医療業界側からみた重要な参考情報としてのガイドラインの存在意義に異なった点が有ります。裁判所には、専門委員の制度があり、医師から裁判官に説明してもらうことが可能です。また裁判官の合議制が一般のようです。被告として法廷に立つと、否応なしに原告の主張への対応を、余儀なくもされます。診療各科共通ではないと思いますが、そこの判断に、ガイドラインという医療水準・判断基準(推奨度分類A・B・C)が利用されます。逆に表現すれば、我々はガイドラインを最も熟知しており、杓子定規な判断をされてしまうことのないようにガイドラインという最良の弁護士を大いに活用し、たんたんと医療内容を主張することだと思います。また、ガイドラインに記載されていないことは、記載はないとはっきり意思表示する手段も重要と思われます。いずれにせよガイドラインに従い行動すること、ガイドラインを外れるときはその意識を持つことであると思います。