高齢者に冷たい医療へ? ―人も予算もさけない けれど―
現在、国の存続をかけて待ったなしの少子化対策が行われています。社会の高齢化への対応に追われる中、少子化対策は遅れ、出生率の長期低迷が続いていました。しかしようやく、若年世代が結婚して子育てしやすいよう経済的負担の軽減や、社会環境の整備などが行われるようになってきました。地方自治体も、若年世代の支援に力を入れており、今年8月から始まる県の福祉医療現物給付でも、一部の市町村は対象年齢上限を中学卒業から、18歳に引き上げる予定です。子どもの医療費負担を軽減し、子育てしやすくすることで、住民を増やそうと競っているようにも見えます。
一方高齢者に関しては、2014年4月から70∼74歳の方の窓口負担が1割から2割に上がる改定が行われました。また高齢者の在宅医療の推進や終末期医療の見直しで、医療費を抑制しようともしています。今後さらに高齢者が病院受診・入院しにくくなるような、制度改定が行われていくことも予想されます。
「こんな年寄りをどうして病院に連れてきた」と救急外来の医師に叱責されたという話を今でも聞くぐらいですから、今後「年寄りは病院に来るな」の風潮が強まるかもしれません。そんな超高齢化・人口減少のご時世で高齢者医療に人的・予算的医療資源もさけないからこそ、医療にあたる我々は、(陳腐ではありますが)「敬老」の気持ちだけは忘れないようにすべきであろうと思います。