働き方改革 ―医師の働き方改革は何処へ―
政府与党の目指す働き方改革は三本の柱で構成されている。まず時間外労働の罰則付き上限規制。次が同一労働・同一賃金制度の導入。そして高収入な一部専門職を労働時間規制から除外する、高度プロフェッショナル制度の導入である。
さて四病院団体協議会は「医師の働き方改革」としての要望書を4月18日付で厚生労働大臣宛てに提出した。ところが働き方改革と称しつつ、勤務医への健康配慮がほとんど盛り込まれていないこの内容には強い違和感を覚える。救急医療・産科医療等において医師の勤務時間を制限すると、医療崩壊の可能性が高く、拙速な働き方規制は行うべきではないと要望している。加えて医師の自己研鑽を抑制するような規律は適さないとも記載してある。誤解を受けやすい表現である。「医師独自の労働法制」によって現状の労働環境を容認させようとしているとの批判がでるのは当然であろう。患者ニーズを盾にした現状追認の主張ではなく、医師の自己犠牲によって成り立つ現状からの脱却を目指した提言を盛り込むべきであった。医師という職業が高度プロフェッショナル制度から除外されていることを忘れてはならない。
政府素案では、産業医の機能強化として従業員の健康管理上の情報提供を義務付けることも盛り込まれている。医師が労働者の働き方改革をサポートするならば、自らの働き方も例外とすべきではない。