TOP > 長野県にお住まいの皆さまへ > 長野県医師会の活 > けんこうの小径 > 若里だより > 妊産婦のメンタルヘルスケアの充実へ ―妊産婦の自殺対策―

妊産婦のメンタルヘルスケアの充実へ ―妊産婦の自殺対策―


過日周産期学会の妊産婦メンタルヘルスケアマニュアルのプログラムで、ショッキングな報告がなされました。この二年間出生数は100万人を切り、一方児童虐待の数は増加し、最近では妊産婦の自殺が産科異常による妊産婦死亡を上回る数だったことが明らかとなりました。そしてそのメンタルヘルスの問題は、本人の苦痛や自殺の問題にとどまらず、子どもの成長・発達にも影響を及ぼすという意味で大変深刻な問題として認識する必要があると報告されました。

日本は出産に関して世界一安全な国なのに、子どもを産みたくない国となっていることになります。この対策が、周産期メンタルヘルスプロジェクトの目的であり、手段として、多職種連携の構築が必要となります。多職種には具体的に産科・小児科・精神科医療機関に加え保健センター・県・保健所・幼稚園保育園学校・公民館・児童相談所・警察・NPOボランティアなどが含まれます。先日、東信地区CNSサミットも開催され、周産期うつ病対策の講演もなされましたが、100名近くの方に御参集頂きました。

本年10月からは市町村により、地域における全ての褥婦を対象に、産後健診2回までの費用について助成を行うことで、産後の初期段階における母子に対する支援を強化し、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制を整備する目的の事業が整備されます。

実行実施は医師会だけで出来るものでもなく多職種連携の構築が昭和17年発行でほころびが各所に見られる母子手帳の産後6-8週の最大の切れ目を埋められるか?が最大の乗り越えるべきテーマと考えております。また、ご指導ご協力の程よろしくお願い申し上げます。