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外国人労働者の子弟教育 ―次世代の働き手としての教育を―


関東地方の少年院で、ブラジルからの外国人労働者とともに来日した日系人の子弟が、その後、非行少年となって数多く在院しているとの情報があった。政府は人手不足対策として、日系人に対して在留資格を緩和して、多くの外国人労働者を招き入れた。しかし、その子弟に対する対策がほとんど為されず、子どもたちは就学期になれば日本語の読み書きもままならぬ状態で小中学校に入学させられてきた。その結果、教室にも、地域においても居場所がなく、結果として非行に走ったということも否定はできない。

米国メリーランド州の幼稚園や小学校では、入学手続きをすると、English for speakers of other languages (ESOL) についての説明がなされ、入学後直ちに、毎日30分のESOL専門教師による無償の英語教育がなされる。日本語を全く話せない教師が、児童のレベルに合わせて完全に一対一で英語のみで教える。子どもたちは楽しみながら英語を覚えていく。半年もすれば、臆することなく先生にも友達同士でも会話ができ、そして小学校二∼三年生ともなれば日本の英検3級に合格できるレベルとなる。

日本政府は労働力のみを求めて外国人労働者を入国させるのではなく、その子弟に確固たる“日本の初等中等教育”を行う制度を整備することで、ひいては日本の次世代の働き手をも育て上げることができるのではないだろうか。政府は、それに対する努力と経費を惜しんではならないと考える。