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総合診療専門医について思う ―地域医療の担い手として期待しようー


 2018年4月から運用されている新専門医制度のトピックスは、内科、小児科などの基本診療領域の19番目に総合診療専門医が加えられたことです。日本専門医機構(以下機構)は高齢化が進む地域医療に配慮して、この新たな領域を基本診療領域に導入しました。
 機構が示す総合診療専門医の医師像は「日常的に頻度が高く、幅広い領域の疾病と傷害などについて、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的に提供することが求められる」です。総合診療専門医が地域医療で機能すれば、通院する医療機関の数が減るため患者さんの負担が減ります。さらには、多剤投与の減少や医療費の抑制にもつながると思われます。また、総合診療専門医は、多職種との連携を教育されてきた医師であるため、地域包括ケアのハブとしての機能を担うのに適任です。
 2015年の日本医師会総合政策研究機構のデータでは、医学生のうち「将来専門にしたい診療科」で総合診療科を選んだ人の割合は14.6%であり、内科、小児科に次いで第3位でした。しかし、現実は全専攻医(後期研修医)中の総合診療領域の専攻医の割合は2018年が2.2%、2019年が2.1%でした。研修医が先行きの不明瞭さから来る不安や6か月以上の僻地・過疎地域、離島での研修条件がネックとなり二の足を踏んでいる姿がうかがえます。
 機構は研修プログラムによって会得できる診察方法や治療技術をより具体的に示し、研修条件を再検討することが必要そうです。研修医は地域で総合診療専門医のニーズが高く、国には総合診療専門医に対する強い期待があることを認識すべきでしょう。そして、「専門外なので」というフレーズを少しでも用いたくない研修医、赤ひげ先生にあこがれを抱く研修医は総合診療専門医への道を積極的に考えてみてはいかがでしょうか。