胃がん検診について
2017年07月03日
質問① 胃の検診を受けて、精密検査を行うよう書類がきました心配です。悪いものなのでしょうか。胃の集団検診は毎年各市町村が実施し、職場でも行っています。長野県では平成28年度は52の市町村が実施し、職場での検診を含め59,908人が受診しました。バリウムを飲んで胃のX線撮影をし、そのフィルムを消化器の専門の医師が2人1組で調べます(読影)。病気の疑いがあるものは精密検査を行うよう勧めます。その数は平成28年では受診者数の9.47%で10人に一人が精密検査をしたことになります。胃がんのような悪いものだけでなく、胃潰瘍や胃ポリープなどの良性の病気も含まれます。平成28年の胃がんの発見は49名で発見率は0.09%でした。精密検査を行っても、悪性であることは稀ですが、胃にはバリウム検診では見え難い個所もありますから、胃内視鏡検査で異常がないこと、良性の病気であることを確認する必要があります。心配せず精密検査は受けるようにしてください。
質問② 胃の検診はレントゲン検査以外にないのでしょうか。
最近行われるようになった胃の検診に「ABC検診」があります。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染の有無、胃の粘膜の萎縮の有無を調べる検査です。血液を採って調べる負担のない検査です。ピロリ菌は感染すると胃の粘膜、粘液に生息し、胃炎を起こします。その胃炎が長く続き粘膜が委縮してくると癌が発生すると言われています。ピロリ菌、萎縮の程度を調べることにより、胃がんのできやすいと思われる人には胃内視鏡検査(胃カメラ)を行っていただきます。
胃内視鏡検査を受診者すべてに行えれば、胃がんの発見率も高まるのですが、内視鏡を行う医師の人数、検査後の読影の問題等があり、検査の人数に制限があります。ですから先に「ABC検診」を行って、癌になりやすい人を絞り込むわけです。
長野県医師会の消化器検診委員会では、将来胃がん内視鏡検診を行うために検討しております。
広報委員会 野邑敏夫