『乗り物酔い』について
2018年05月01日
♪白樺∼青空∼南風∼ いい季節となりました。心ウキウキ、旅でもしましょうか。ところで皆さんは乗り物は大丈夫ですか。小中学校の学校医をしておりますと、修学旅行などを前にして乗り物酔いの相談がよくあります。そこで今回は『乗り物酔い』を取り上げます。
乗り物酔いは自動車、列車、船、飛行機などの乗り物で加減速や回転、揺れといった動揺刺激により、自律神経の失調をきたし、めまい・動悸・吐き気・嘔吐・冷や汗・顔面蒼白・頭痛などの症状を発現した状態です。乗り物酔いについてはギリシャ時代より認識されていた様ですが、発症のメカニズムについては未だ十分に解明されたとは言えません。諸説あるなか、感覚混乱説では空間識や平衡感覚に関連する視覚、前庭迷路、深部知覚などからの情報に不一致が生じた場合に起きると考えています。両耳の奥に内耳という器官があって、音を神経に伝える装置のほか体の平衡や姿勢の調節を行うためのセンサーがあります。回転運動を感じる三半規管と傾きや加速を感じる耳石器で、合わせて前庭迷路といいます。ここで感知された情報は神経を通って小脳に伝えられ目や筋肉・関節(深部知覚)からの情報と共に平衡感覚として統合・調整されます。しかし、動揺刺激が強すぎたりアンバランスだったりしてコントロールの限界を超えると自律神経に失調がおこり前述の様な不快な症状が出現します。更に心理的な影響もあることから大脳の関わりも考えられます。
では、乗り物酔いを防ぐにはどうしたら良いでしょうか。まずは旅行前に体調を整えることが大切です。睡眠不足や胃腸不良に注意し、着衣はゆったりしたものを選びましょう。心をリラックスさせ、大丈夫と自分に言い聞かせます(自己暗示)。乗り物に乗ったら姿勢を良くして遠くの景色を見るようにし、窓際で進行方向の席を利用、バスなどでは運転手と同じ方向に身体を傾けるのも酔わない秘訣の様です。いわゆる酔い止めの薬(抗めまい薬・制吐薬・抗不安薬など)が必要な場合は医師に相談して下さい。また、普段からバランス感覚や自律神経機能を高めるトレーニングにも心がけましょう。
広報委員会 水野啓之