COPD(慢性閉塞性肺疾患)
2018年11月01日
COPD(シー・オー・ピー・ディー)とは慢性閉塞性肺疾患“Chronic Obstructive Pulmonary Disease”の頭文字から命名された疾患です。肺気腫、慢性気管支炎の二つを合わせた疾患群の名称といえばわかりやすいかもしれません。原因の多くが喫煙です。たばこの煙を吸い続けた結果、酸素と二酸化炭素のガス交換の場である肺胞(大きさ100∼200μm)が破壊されて、単なる大きな袋になりその機能を失ってしまうのです。また空気の通り道である気管支もダメージを受け、その壁は厚く腫れ狭くなってしまいます。
症状は、咳嗽・喀痰の増加と労作時の息切れが代表的です。40歳以上の8.6%、約530万人の日本人が罹患していると推定されていますが、初期症状を年齢の為などと軽く考え受診されていない方が多いようです。進行すると日常生活動作にも支障をきたし、酸素吸入を必要とします。
喫煙歴があり上記症状がみられる場合にCOPDを疑います。重症・進行例では通常の胸部レントゲンでわかることもありますが、確定診断には呼吸機能検査で測定される一秒率の低下を確認することが必要です。
喫煙中の方であれば禁煙が治療の基本です。また気管支拡張薬の吸入や喀痰を排出し易くする内服も用いられますが、いったん破壊された肺胞機能は残念なことに回復しません。そのため残存する機能を最大限生かす呼吸理学療法が用いられています。注意しなくてはならないことは、この疾患を持っていると上気道感染症やインフルエンザをきっかけに急激に症状が悪化する場合があることです。インフルエンザワクチンは大切です。
受動喫煙によってもCOPDを発症する場合があることも知っておきましょう。自身の健康はもちろん、ご家族のためにも禁煙は重要です。
広報委員会 小口 淳