交通事故や労災の後遺障害について
2019年03月01日
交通事故や労災事故の被害にあわれた方々にとっては、症状がすっかり消えて健康を取り戻し、社会活動に復帰することがなにより大切なことです。治療によりほとんどの方は健康を取り戻していますが、なかには経過が思わしくなく「完全な回復」や「無症状」に至らないこともあります。なにかしらの遺残した症状があればそれが後遺症ということになりますが、その症状が重く、自賠責保険や労災保険などの一定の基準を満たすような症状が残った場合、後遺障害と認定されて保障の対象となります。この作業は後遺障害診断書という書面を通して行われます。これは診療を担当した医師のみが作成するものです。そのため、医業類似行為である柔道整復師(いわゆる ほねつぎさん、接骨院)による施術だけに頼ることはいいことではなく、医師の定期的診察を受けることが大切です。治療により症状が軽快しても、あるところでその軽快傾向が止まり、症状が変わらず続いてしまうことがあります。このような状態を症状固定と呼びますが、交通事故や労災事故の保険診療では、治療によっても症状が変わらず残っている状態を治癒と判断され、治療が終了となります。症状が残っているのに治癒というのは釈然としませんが、自賠責や労災保険診療ではそういうものです。その遺残した症状が医学的に説明のつくものであり、後遺障害等級の基準を満たせば後遺障害と認定されます。
広報委員会 出口正男