「あとから後遺症がでるから」と言われたら?
2020年09月01日
不幸にして交通事故にあわれた場合、しばしば周囲のひとから「あとから症状がでることがあるから、しっかり診てもらったほうがいいですよ」とアドバイスされることがあります。今は何も症状がなくてもあとから問題が生じうるとはなんとも心配なお話です。では、あとからとはいつのことを指すのでしょうか。数カ月後あるいは数年後? 多分、アドバイスされる方は数年後をイメージしているのかもしれません。ではどんな症状をいうかというと、たぶん首の痛みや手足のしびれのことを言っているのだと思います。つまりむち打ち症の後遺症ということでしょう。しかし、整形外科および脊椎脊髄外科専門医の見解として、事故にあわれて最初は症状がないのに数年して後遺症が出ることはまずありえないことです。外傷の基本としては受傷時に最も症状が強く、自然経過で軽快し、それでも残ってしまうのが後遺症です。無症状であったものが数年して何か新たな症状を呈してくるのは交通事故とは無関係で、あるとすれば私病という交通事故とは無関係の病態です。ですから、もし事故にあわれても最初の数日間に症状が出なければ後々後遺症が出るということを心配する必要はありませんので安心してほしいと思います。
広報委員会